介護をしている最中にもしも利用者が転倒してしまったら、そのときの対応が重要になる。
本人の意識があって、本人が「大丈夫」といっているとしても楽観してはいけない。
転倒したら、病院で検査を受けることが大前提である。
利用者の転倒を防げなかったことよりも、それをなかったことにしたほうが後になって重大な問題へとつながってしまうことがあるからだ。

高齢者が転倒することは、珍しくはない。
原因は様々だが、介護士としてどう対処するかによってその後の利用者の状況は大きく変わっていく。
まず転倒した直後の対応だが、声掛け、バイタルチェックを行い意識があるか確認をする。
慌てず騒がず、動かしてはならない。
意識がある、声かけにも反応できる、バイタルチェックも問題ない場合、いくら本人が大丈夫といっても過信せず病院で検査をしてもらうことだ。

なぜなら、本人の「大丈夫」を真に受けるのはとても危険だからだ。
認知症を患っていたら、痛みの感覚がない場合もある。
また、大げさにしたくないという羞恥心から我慢してしまう利用者も多い。
しかし、今の瞬間に何も症状がなかったとしても、数日後に異常が現れることもあるのだ。
特に頭を打ったり頸椎(けいつい)を打った場合、硬膜下血腫ができてしまい、数週間後に発症するケースもある。

利用者が転倒したら、まずは介護職として利用者の安全を第一に考えよう。
そして施設では医療従事者に、訪問看護の場合はかならず上司に報告した上で、病院での検査を受けてもらう事を勧めるべきだ。
これらのように、介護職が知るべき転倒時の対応はもちろん転倒防止策もしっかり把握しておくことが安全な介護につながる。